アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は皮膚の外的刺激から防御する能力であるバリア機能の低下と過敏に反応する体質(アレルギー体質)によって生じる、痒みを伴う湿疹が、慢性的に悪化や改善を繰り返す皮膚病です。

遺伝的傾向と、生活環境の因子が複合して生じるのがアトピー性皮膚炎です。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の悪化には、アレルギー反応やバリア機能の障害がかかわってきます。

ひとりひとりに個別の悪化要因がありますが、共通の悪化原因として、乾燥、発汗、皮膚の汚れ、ストレスまた、皮膚を掻く行動も大きな悪化要因となります。

室内のほこりや、布団やぬいぐるみのダニが原因の場合があります。また、ペットの毛なども原因になります。
石鹸、ボディーソープ、シャンプー、リンスなども皮膚に刺激になる場合があります。

アトピー性皮膚炎の治療

日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインに基づき、ひとりひとりの症状に合わせた標準治療を行います。

TARC検査

白血球走化作用を持つケモカインの量を図る血液検査であるTARC(Thymus and activation-regulated chmokine)によって、アトピー性皮膚炎の病態を客観的に数値化することができるようになりました。

アトピー性皮膚炎が重症の状態の場合ほど、数値が上昇し、寛解に向かうほど減少します。
TARC検査が生まれたことで、皮膚状態は改善をしてきていても、重症度が高くまだ治療のゴールに達していない場合があることが分かってきました。TARCの数値が正常化する前に治療を中止すると、症状はすぐに悪化してしまいがちです。

月に1回程度の検査を持続することで、薬をやめるタイミングを間違いにくくなります。

内服薬での治療

抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬など、アレルギー症状やかゆみをおさえる薬を内服することがあります。

症状が悪くないときにも、予防的な意味からも服薬することがあります。

重症化した場合は、免疫抑制の飲み薬を一定期間使うことがあります。強い薬のため、医師の指示のもと、正しく服用する必要があります。

また、早い段階で湿疹を抑えることができるかが、色素沈着を防ぐ重要なカギとなります。

保湿

皮膚の乾燥は、皮膚のバリア機能を落とし、症状を悪化させたり治りにくくさせたりします。保湿剤をつかって、十分な保湿を心がけることが大切です。

水分やセラミドを補うもの、油分で皮膚を覆って水分の蒸発を防ぐものなど、いくつかのタイプがあります。剤形にもクリーム、ローション、軟膏などがあり、保湿効果や使用感が異なります。

医師に相談をして、自分の皮膚に合ったものを選びましょう。症状が治まっているときでも、保湿だけは頻回にマメに行うことが大切です。

これってアトピー?

アトピーのステロイド以外の治療


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  • 冬のワンポイントアドバイス

    皮膚科専門医より、冬のワンポイントアドバイス。

    乾燥肌の湿疹

    冬は空気が乾燥し、加えて暖房などで更に乾燥肌が進みます。
    本来は肌が乾燥しやすい高齢者(肌の表面のバリア機能の低下に伴い)に多い病気ですが、最近では若い人にも見られます。

    乾燥により、皮膚がかさつきやかゆみが起こり、掻くことで肌の状態が悪化します。
    肌の状態が少しも改善されないまま放置し、掻きむしってしまうとその部分がカサカサしたり、赤くなったりして更にかゆみを生じさせるという悪循環を引き起こし、「皮脂欠乏性湿疹」と言う皮膚疾患に進行してしまいます。

    皮脂欠乏性湿疹はすねや太もも、腰、脇腹などを中心に強いかゆみが生じ、慢性化して黒ずみの原因にもなります。

    【予防】
    乾燥肌のうちに対策をする事で湿疹は防げますので、
    次のような点に注意しましょう。

    ○冬のかゆみに対しては、できるだけ皮膚の乾燥を防ぐことが重要です。
    保湿剤で乱れた角質を整えて、皮膚の表面に膜を作り外部からの刺激や水分の蒸発を防ぎます。

    ○熱い湯に長くつかると、必要な皮脂膜や皮脂を取り除き、皮膚の表面を荒れさせる原因となるため避けましょう。
    また、体を洗う時は手のひらでやさしく洗うようにし、角質が乱れないようにします。

    ○衣類は肌を締め付けすぎないものを着用し、化繊など肌を刺激する素材は避けましょう。

    ○栄養バランスの乱れは、乾燥を悪化させてしまうこともあります。ビタミンやミネラルをバランス良く摂る事が大事です。
    また、不規則な食生活も乾燥肌を悪化させる原因となります。

    冬の手荒れ

    冬は気温が低下するため、皮脂の分泌量が減少します。
    その結果、肌を守る皮脂膜ができにくく、皮膚の水分が保てなくなり手荒れが生じます。
    更に水仕事(お湯や洗剤(合成洗剤)は更に皮脂膜を洗い流しやすい)で、
    皮脂膜がはがされ手荒れが悪化します。

    1)乾燥により、手の甲や指先にカサカサする症状が現れる

    2)カサカサする症状が悪化すると、湿疹や痒みの症状が現れる

    3)さらに悪化すると、ひび割れや痛みなどの症状が現れる

    【予防】
    ○手荒れの症状が現れた場合には皮膚の保湿ケア(ハンドクリーム等をぬる)に心掛け、皮膚が乾燥しないようにしましょう。

    ○水仕事の際はできるだけお湯を使用しないようし、皮膚にやさしい手袋をする。

    ○使用する洗剤は、合成界面活性剤が含まれていない物を使用し、水仕事の後はよく洗剤を洗い流し、しっかりと手の水分を拭き取る。

    ○入浴時のシャンプー・リンス等も皮膚に刺激を与えないものを使用する。

    ○就寝時には保湿用ハンドクリームを塗り、皮膚にやさしい手袋をする。

    初期段階の適切な対処で、短期での治癒が可能となります。
    また、保湿ケアに関してもご相談下さい。

    しもやけ(凍瘡-とうそう)

    みみたぶ、手足など、末梢部が寒冷にさらされて、皮膚の血行障害を起こし、皮膚に鬱血(うっけつ)を生じ、しもやけになります。
    重症の場合は、水膨れや潰瘍なることもあります、。

    【予防】
    ○寒冷刺激を受けないように外出時は、耳あて、手袋、靴下などで防寒を努めましょう。
    また、靴などは血行を妨げさせないものを身につけましょう。

    ○足は汗をかきやすいので靴下が湿っぽくなります。
    湿気のある靴下で寒いところにいると皮膚の温度は急激に低下し、皮膚の血行障害を起こします。湿気を帯びた靴下はとり替えましょう。

    ○寒冷刺激を受けたあとには手足をマッサージしたり、暖房機器で暖めましょう。

    赤みが取れず、かゆみが有ったり、痛みが続く場合はご相談下さい。
    かゆみが強いときはかゆみ止めを使用します。治療薬には塗り薬、飲み薬があります。
    末梢血管拡張剤(ユベラなど)を投与しますが、びらん面が感染症状があったり、潰瘍を形成している場合は抗生剤を内服します。

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    ニキビ(にきび)

    Instagramでニキビでお悩みの方ご覧ください。

    ニキビ(にきび)の病名は尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)と言います。

    ニキビ(にきび)は正しい知識と適切な処置を行なえば、治療することができる皮膚の病気なのです。

    ニキビ(にきび)の原因

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    ①皮脂の分泌過剰
    ②皮膚のターンオーバー(新陳代謝)のサイクルの乱れによる毛穴のつまり。
    ③ニキビ菌(アクネ菌、マラセチア菌)の増殖
    ④ホルモンバランスの乱れ

    過度なストレスによる男性ホルモン過剰分泌はニキビ(にきび)悪化の原因になります。また、生理前や生理不順によるホルモンバランスの乱れがニキビ(にきび)悪化の原因となります。

    ニキビ(にきび)予防のための生活習慣

    ストレスをためこまない

    過度な精神的ストレスはホルモンバランスを乱します。適度な運動や趣味などでストレスの解消を。

    バランスのとれた食生活

    朝食をしっかりとる事と、栄養バランスを考えた食事を心がけてください。

    睡眠

    夜の10時ごろから2時頃の間に、老廃物が排出され、新しい細胞が作られます。夜更かしや睡眠不足は、皮膚の老化を促進し、ニキビ(にきび)だけでなく、肌荒れ、くすみ、シミ、シワといったお肌のトラブルを招く原因になってしまいます。

    便秘

    野菜や繊維の多い食物をとり、水分も適当にとり便秘を防ぎましょう。

    紫外線

    紫外線そのものが原因ともなりますが、紫外線により発生する活性酸素もニキビ(にきび)の原因となります。

    スキンケア

    油分の多いクリームやファンデーションは毛穴のつまりの原因となります。
    化粧水やゲル状の美容液等で皮膚への水分補給はしっかり行いましょう。

    アルコール

    飲酒による糖分の過剰摂取もにきびの原因となります。

    禁煙

    タバコは血行を阻害してターンオーバー(新陳代謝)を低下させ、さらにニキビ(にきび)予防に必要なビタミンCを破壊するため、ニキビ(にきび)悪化の原因となり、肌の老化を早めます。

    ニキビ(にきび)の治療

    保険適応される治療

    ビタミン剤飲み薬(ビタミンB2、B6、C)
    抗菌薬(塗り薬、飲み薬)
    外用レチノイド(毛穴のつまりを解消)
    面ぽう圧出(専用器具を用い毛穴につまった、皮脂や角質を物理的に除去)
    イオウ製剤
    漢方薬

    保険適応のない治療

    ケミカルピーリング
    ケミカルピーリングとは、皮膚に化学薬品を塗り、皮膚を剥がすことによって起こりうる現象や効果を利用して行う治療のことです。


    早く治る、痕に残さないにきびの治し方

    ニキビ痕 タイプ別の正しいケア!!

    タイプ別ニキビの対処法

    ニキビの原因になる食べ物


    水虫・爪水虫

    水虫は足の裏や足の指の間などに「白癬菌」というカビが寄生して起こる感染症です。
    白癬菌は皮膚や毛髪を構成する成分のケラチン(硬タンパク質)を好み、ケラチン組織であれば体のどの部分にも寄生する可能性があります。
    その中で足にできる白癬を「足白癬」といい、一般的に水虫と呼ばれています。角質の一部を採取し、顕微鏡を用いて検査を行い、水虫かどうかを診断いたします。その結果と皮膚の状態により、外用薬を選択し治療を始めます。

    水虫ができている部位に応じてさまざまな名称が付いていますが、これらはすべて白癬菌による水虫です。

    足は水虫(足白癬)、爪は爪水虫(爪白癬)、股はいんきんたむし(股部白癬)、体はたむし(体部白癬)、頭はしらくも(頭部白癬)です。

    水虫・爪水虫の原因

    白癬菌が好む環境が一番に上げられます。

    白癬菌は真菌(カビ)ですので、高温多湿を好み、ケラチンを栄養源とするため、 足の裏や足指の間などが白癬菌にとって最も住みやすい場所になっているのです。

    角質層の主成分のケラチンは水虫の栄養源となり、根絶に時間がかかりますが、剥がれ落ちた皮膚に住み着いていた水虫は、栄養源を絶たれ数週間で死滅します。
    しかし水虫の感染経路は、この剥がれ落ちた皮膚からによるものが最も多いのです。
    その為、複数の人が使うバスルームの足ふきマットやスリッパなど湿った温かい場所は特に要注意になります。

    白癬菌は少し触れた程度ではうつりませんし、空気感染や直接接触による感染はほとんどないと考えられています。
    高温多湿の白癬菌が好む環境が継続した時に白癬菌は増え始め、水虫の症状が現れます。

    水虫・爪水虫の治療

    水虫によく似た症状を示す疾患は多くありますので、皮膚科専門医による正しい診断が必要だといえます。

    また市販の水虫薬だけで治すことは難しく、 特に爪水虫の場合では軟膏が爪の中の白癬菌まで薬が届かないため、医師の診断を受け内服薬での治療が必要になります。

    自己判断で誤った診断や治療を始める前に、皮膚科専門医に相談することをおすすめします。


    じんましん

    じんましんの原因

    じんましんは、食物が原因になることはよく知られていますが、細菌やウイルス感染なども原因になります。

    じんましんは、すべてがアレルギー性とは限らず、皮膚をこすったり、圧迫した所に出たり(物理性じんましん)、温度の変化(温熱、寒冷じんましん)、入浴や運動・精神的緊張などによる発汗(コリン性じんましん)なども原因になります。
    また、何週間も続けて繰り返して出没するじんましんの場合には、食物が原因になっている場合はほとんどありません。

    約7割以上のじんましんは直接的原因や誘因がはっきりせず、色々な検査をしても原因や誘因を特定出来ないことも多々あります。

    じんましんの症状

    皮膚の一部が突然に赤く盛り上がり、痒みを伴うのが特徴です。虫さされのように見えますが、通常、十分から数時間以内のうちに消える場合は「じんましん」の可能性が高いといえます。

    かいたりすると広がったり、他の場所にも出たりします。時には、次々に新しい皮疹が現れたり消えたりしながら1日中続くこともあります。

    症状が出始めてから1ヶ月以内のものが急性じんましん、症状が1ヶ月以上も続くものを慢性じんましんといいます。

    じんましんの対策

    じんましんの治療で最も大切なことは原因を見つけだすことです。まず、食物などで原因が分かっていれば避けましょう。魚介類や肉類は新鮮なものを食べ、添加物や着色料の少ない食品にすること。
    また、ひっかいたり・皮膚への圧迫、運動や入浴など温度刺激や発汗で悪化するなど特定の誘因で出る場合は、これらの誘因を避けることが必要です。

    原因のはっきりしない慢性じんましんでは、ストレスや疲労などが原因となり、過敏体質と組み合わさって症状が繰り返されることが多いので、日常生活では疲労やストレスをためないことも大切です。

    じんましんの治療

    じんましんにはヒスタミンという物質が関係しており、じんましんの種類にかかわらず、この働きを抑える抗ヒスタミン薬の服用が治療の基本です。抗ヒスタミン薬は何種類もあり、人によって効く薬が違ってきます。

    また、抗ヒスタミン薬は眠気が起こることがあります。車の運転や危険な仕事をする人は注意が必要です、最近では眠気のほとんど起こらない薬もでていますのでご相談ください。

    慢性じんましんでは、長期にわたり薬を飲み続ける必要がありますが、長期連用による影響はほとんどありません。まずは自分に合った薬を見つけることが大切です。

    症状に合わせて薬の量を調整しながら徐々に減らしていき、治療を終了させることもできます。


  • 関連ページ:View39アレルギー検査
  • 火傷(ヤケド)

    火傷(ヤケド)

    火傷(ヤケド)は医学的には熱傷とよばれ、熱による皮膚や粘膜の損傷をいいます。

    高い温度の液体や、固体に皮膚が一定時間以上接することでおこります。
    したがって、接触したものの温度と、接触した時間で火傷(ヤケド)の深さが決まります。

    ■Ⅰ度熱傷(表皮熱傷)
    ■浅達性Ⅱ度熱傷(SDB)
    ■深達性Ⅱ度熱傷(DDB)
    ■Ⅲ度熱傷(皮下熱傷)

    火傷(ヤケド)ではほかの外傷と異なり、 出血したりすることはないのですが、火傷(ヤケド)した部位に直後から赤み(発赤・紅斑)や腫れ(腫脹)が現われます。

    浅い火傷(ヤケド)は赤くなるだけですが、 深い火傷(ヤケド)では腫れやみずぶくれ(水疱)が1~2日進行します。
    また、深い火傷(ヤケド)や広範囲の火傷(ヤケド)では、創傷の治療に加えて熱傷によるショックを治療するために 点滴などの全身治療が必要になります。

    火傷(ヤケド)の応急処置

    できるだけ早く、水道水などの清潔な流水で十分に冷やします。 痛みが軽くなるだけではなく、火傷(ヤケド)が悪化することを防ぐこともできます。

    衣服を着ている部分にやけどを負った場合は、衣服を着たまま流水で冷やします。

    広い範囲にやけどをした場合の冷却は、体全体が冷えてしまう可能性があるので、冷却は10分以内にとどめます。
    15分ほど冷やしたら速やかに医師の診察を受けてください。自己判断の治療(ジャガイモ、アロエなど)は以後の治療の妨げになるので避けましょう。

    火傷(ヤケド)の治療

    I度と浅達性II度熱傷(SDB)は傷跡をのこすことは少ないのですが、火傷(ヤケド)の深さや状況に応じて治療が異なってきますので受診をおすすめします。

    必要に応じ、外用薬、内服薬が処方されます。


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  • 帯状疱疹

    帯状疱疹の原因

    小児期に水痘として感染したものが、神経節に潜んでおり大人になってから帯状疱疹として発症。

    水痘にかかったことのない子供との接触には注意が必要です。

    帯状疱疹の症状

    症状は痛みを伴い水をもった赤い発疹が全身に出ます。

    水ぼうそうのときのウイルスが死なずに知覚神経の節に長い間生き続け、風邪など体カの低下したときにウイルスが再び活動を始めて神経を通って皮膚に到達し水ぼうそうと同じ水疱を作ってきます。

    神経に沿って出てくるためにからだの片側の部分に帯状に出現する紅斑と小さな水疱が特徴で、途中の神経も炎症を起こし刺激を受けて痛みを伴います。

    痛みは炎症の程度や年齢、皮疹の部位、初めの治療の仕方によって異なります。

    若い人では軽症ですむ場合もありますが、高齢者では激しい疼痛を伴うことがあり、皮疹が冶癒した後でも神経痛のような痛みが何ヶ月も続くことがあります。

    帯状疱疹の治療

    冶療はやや高額ですが抗ウイルス薬の内服が大変有効です。
    また、痛みが強い場合、ペインクリニックで半導体レーザーによる疼痛緩和療法も有効です。

    皮疹の跡や神経痛を残さないために早めの受診が必要です。


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